2006年08月08日

ゲームがワルモノにされる理由3

【概要】人間の脳・精神の解明はまだ発展途上である事。

3)人間の脳・精神の解明はまだ発展途上である事。

3.1)「科学」なら全て信頼でき るのか

 「最新の脳科学によると」といわれると、なんとなく人を平伏させる効果があります。「何言ってるのかよくわからないが、、、ううむそうなのか」とか「お もしろいねぇ」とか思います。「うっそだー」とか「信じねぇ」とか言い放つのはちょっと勇気が要りますね。いろんな意味で。私など「あなたは脳の事をなに もご存知ない」とか言われてしまうと「すいませんでした」と平伏してしまいます。

 ああ、でもちょっとまって下さい。科学ならどれでも一緒なのでしょうか?

 変な話ですが「地球が丸い」と、「ゲームをやると自閉症になる」では、どちらが「科学的な信頼性」が高いのでしょう?
 むしろ自閉症の判定精度すら議論のあるところです。
 「最新の脳科学によると」って記事が引きも切らないのはものすごい勢いで進化してるって事です。だから面白いのですね。

  しかし、決して莫迦にするわけではありませんが、脳科学・精神医学は、ともにサイエンスとしてはまだまだ信頼性が低く、他分野の学者からは低く見られがちなの だそうです。古典的物理学の「科学度」が10だとすると、脳科学の「科学度」は3とか2くらいかもしれません。
 両分野のみなさんは日々、悔しい思いを 秘めつつ研究に勤しんでおられる事と思いますので、是非、頑張っていろんな研究を進歩させて戴きたいと思います。「ゲームの 教養」の有無で「科学的研究」の結論が決まっている印象もありますけどね。
 ぶっちゃけ、地球は丸かった(じゃなんで落ちないんだ!)とか、火星に運河があった(だから火星人が居る!)とか、それくらいのところに居るんだと思う よ。わりーけど。

 もちろん、科学なんか一切信じるなというのではありません。しかし最新の科学だからという理由でまったく疑わないのも同じくらい問題があると思います。 大切なのは自分で考えて、自分で決めるこ とです。

 できれば「あなたは脳の事をなに もご存知ない」が口癖の先生には「ソクラテスの弁明」を思い出して頂きたいと思います。

3.2)現状は甲論乙駁。または、 理屈と膏薬はどこにでもつくこと。

  1. テトリス名人は「色」に反応してレバーを動かします。ブロックの形を見てから、これはココにハマるぞと考えている時間はありません。
  2. ボクサーはスウェイやダッキングを反復練習で培った「反射」で行います。相手のパンチの方向やイキオイを見て、こう動けばよけられるぞと考えている時間は ありません。
  3. 囲碁将棋の名人は盤面を図形と認識して次の手を閃きます。相手がこうきたからこう打つぞと考えているだけではありません(定石などのパターン蓄積と反復練 習が一定量を超えると「閃く」ようになるそうです)。
  4. ゲーム中の脳波は痴ほう老人と同じとする説もあれば、座禅などの瞑想状態と同じとする説もあります。座禅と痴ほうが同じとする説は寡聞にして知りません。
 あなたがテトリス名人なら1.には覚えが有る事でしょう。
  実は「ゲーム脳の恐怖」に書かれている脳の状態ーー脳の思考を司る部分が働いていないーーのはヘヴィゲーマーほど感覚的に「納得できる」ものです。しかし これは 「反復練習の積み重ねによる反射動作の習得」とも言えます。ゲーム脳の先生には是非とも試合中の亀田選手や羽生名人の 脳波を取って戴いて、痴ほう老人のそれと比べて頂きたいものです。
 吉野屋の店員さんが大盛りと並を盛り分けるのも、たこ焼き屋のおっちゃんが必要数のタコを正確にボールからつかみ取るのも、考えてはやってないと思いま す。こちらも痴ほう老人のそれと比べて頂きたいものです。そうそう、お手玉名人も忘れずに。そのへんの学生じゃダメよ。

 まともなのは手も足も動かさずに理屈ばっかこね回してるインテリだけかな?そ れってタダの不器用って言わねぇ?

 これらが昨今メディアで「比較・検証」されないのは、要するにゲー ムが悪い!と言い切る方が人気が出るのだと。実際、PlayStationが 人気商品だった時期には「ゲームをしない子供は馬鹿になる」みたいな題の本がマジ出てましたからね。
 これはつまりゲームそのものが落ち目ということでありちょっ と洒落にならないやぶ蛇ではあるのですが、このエントリのテーマは「大切なのは自分で考えて、自分で決めること」ですので。

 もちろん私は科学の子ではなく、最新の脳科学に反論するほどの知識はありません。それでも反証に使えそうな例はそれなりに見つけられます。例えばカナ ダ・トロント大学マクルーハンセンター、デリック・ケルクホブ教授(読まなくて いいです)の実験によると、3歳児に各種のおもちゃを与えて脳細胞のシナプス結合の促進効果を測定したところ、もっとも効果が あったのはNES(ファミコンの米国名)だったそうです(教授本人の講演会で聞 いた伝聞に過ぎず、なんの教授なのかも自分は知りません)

 と、 いうような話は実はどうでもよく、好きな事例を好きに挙げて好みの結論に繋げる事はイマドキだれにでも 容易にできます。
 既にお気づきの通り、不肖、わたくし対ゲーム脳洗脳戦 の最中ですので敢えて挙げませんが、ゲームの悪影響を論じた例ももちろん、たくさんあります

 現実には、最新の脳科学・精神医学の現状は甲論乙駁です。

3.3)自分の趣味志向・思想信条・行動様式=情報取得先を疑え

3−1−A)ゲーム脳:wikipediaより(太字オレ)

ゲーム脳(げーむのう)は、日本大学文理学部体 育学科教授森昭雄が、2002年7月に出版した著書 『ゲーム脳の恐怖』において提示した造語である。森はゲーム中の脳波を 測定する実 験によって「テレビゲームが人間の脳に与える悪影響」を見 出したと主張しており、この状態を象徴的に表現したものである。

こ の主張がマスコミの報道や講演を通して広く認知されたことにより、「ゲーム=犯罪の温床となる」または「学力を低下させる最大の原因」という認識 を持つ層が現れた。「ゲーム=絶対悪」であることを望む保護者や教育関係者らに支持され、ゲームの規制を有利にするための論拠としてしばしば引き合いにさ れるが、主張の科学的正当性や根拠、客観性については批判的な見解が多く、同書は2003年度の「日本トンデモ本大賞」にノミネートされている。

ゲーム脳に関する研究については2002年10月、同書の 出版に先立って、森は自ら日本健康行動科学会を設立、同会理 事長を務め、第1回学術大会において口頭発表 を行った。しかし、学術論文誌に論文は掲載されていない。 なお、同会は名称に「学会」 を含んでいるが、日本学術会議には登録されていない(日本において「学会」 を名乗る事の規制や条件はなく、自由である)。また、 森はマスコミなどには「脳神経学者」の肩書きで登場する事が多いが、実 際は文学部出身であり、医学には転向したものの博士論文は脳でも神経でもなく筋肉に関する論文であ り、現在も専門は運動生理学で ある。

また、日本神経科学学会 (4200人の会員で構成されており、日本学術会議に登録されている学会) の会長であり、大阪大学名誉教授である津本忠治は、『ゲーム 脳の恐怖』やよく似た理論である『脳内汚染』(岡田尊司著) のような、トンデモ本とされている脳神経を扱った本に対し、「こういった本は神経学に対する信頼を損なうことになる。今まで は放置の姿勢だったが、これからは間違いを正すべく努力したい」と学会の会報「神経科学ニュース」や雑誌のインタビューで表明 している。

 概ねこれが2006年現在のネット上の一般的意見と見て 良いでしょう。保護でも半保護でも無いので大きな議論にはなっていない事も推察されます。しかし、 ここで重要なのは黄 色で塗った部分です。ゲーム有害論が人口に膾炙するのは(スラドでもゲームの話題になると必ずその手の''あらし''が登場し ます)、それが望まれているからで す(ゲームがワルモノにされる理由参照)。ほんとうは、科学的事実など誰も問題にしてはいないので す。結果として、以下のような事象が現れます。

3−1−B)ゲーム脳について:自閉症児者を家族に持つ医師・歯科医師の会(AFD)に寄せられた相談(太字オレ)
知り合いのお母さん方から、「とにかく教師がゲーム脳説を信じていて、親を責めたてるので困っている。テレビに関し ての対応のように、ゲーム脳についても、識者・第一人者による公式見解が欲しい。」と言われています。 教師の間ではすっかり信じられているようで、勉強会でも公然の事実とされているらしいのです。 私も去年娘の小学校で、保健室の先生(養護教諭)に「ゲー ムばかりやってるからこんな子になっちゃうのよ。」と子どもの面前で言われました。 (家にはゲーム機もありません。その時、掲示ボードにはゲーム脳のことを書いた「保健ニュース」が貼ってありました。) AFDのHPに、ゲーム脳についてのものを加えていただけませんでしょうか。
 前後の他の記述からすると、2004年頃の相談のようで す。リンク先では医学的に真摯な解答が書かれていますが、そこまでは引用しません。ここでのスタンスは『ゲーム脳戦争は洗脳戦』ですから、私の興味はどうやったら人間をこういう台詞を吐くまでに洗脳できるのか、 という事です。

3−1−C)少 年写真新聞社:保健室に貼ってある 『保健ニュース』などを発行してる会社。
 リンク先にはゲーム脳の先生の『元気な脳のつくりかた』 という本がのっています。
 さらに検索フォームで「ゲーム脳」を検索してみて下さい。ネット上ではゲーム脳・脳内汚染は疑似科学で決着しているように見えますが、どうも2006現在の保健室ではそうではないように 見えます。
 『保健ニュース』はインフルエンザの予防などでは実績のある権威だと思います。そうした権威が壁新聞の形で繰り返し『ゲーム脳』というとっつきやすい言 葉を繰り返すなら、学校(先生・生徒)では公然の事実な のでありましょう。「権威」が「繰り返す」、これがカギなのかな?

 ゲームがありとあらゆる意味で完全に無害だという証拠はありません(これは悪魔の証明といいまして、不可能です)。
 しかし『人と交わる健全な刺激がもっとも必要な時期に、家に篭ってゲーム』ばっかりやらせりゃおかしくなって当たり前です。
 重要なのは使い方・与え方(運 用)です。『ゲーム脳』という単語は正しい運用方法の普及を妨げると思います。

 人間の趣味志向・思想信条・行動様式は取得情報で決まります。
 もっとも影響が大きい情報取得先は自分自身の経験であり、身近な人間がそれに次ぎます。
 最終的な解決策は「ゲームの教養」の普及にあります。
 ゲーム脳戦争の要諦は洗脳戦で あり、科学的事実の争いは無益です。

 ほんとうはネットだけに頼るのも保健ニュースだけに頼るのもまちがいです。
 大切なのは自分で考えて、自分で決めるこ とです。

3.4)補足:科学的反証は逆効果 であること

 ゲーム脳戦争において、ゲーマーはもちろん中立では有り得ません
 まずこの点で、そもそも科学論争に参加する資格がありません。
 しゃかりきになってゲーム有害論を「科学的に」論破しようと試みても、「ふつうのひと」はヒキます。
 ネット上では疑似科学論が大勢のようですが、んなもんまじめに探して読むのはゲーム支持派くらいです。

 サイレント・マジョリティはゲーム有害論を無意識のう ちに「望んでいる」事に注意して下さい。

 疑似科学呼ばわりは、それが例え真実だとしても、 逆効果です。
 『保健ニュース』の熱心な読者にとっては「ゲーム脳」に反発心を見せる事自体が『非常識』です。
 かかる労力を考えると得られる効果が少ないのではないでしょうか。

 ほんとうは、誰も科学的証拠などに興味は無いのです。

 「ゲーム脳・脳内汚染」信者の根幹にあるのは「適 当なワルモノを見繕って手っ取り早く 安心したい怠惰な精神」です。
 無自覚に「ゲーム脳・脳内汚染」を使う人々の根幹にあるのは「常 識への盲従」です。
 勝利を手にするのは人々の支持を得た方です。自分で考えて、自分で決める事を促して下さい。
 まずは、ゲーマーが教養と良識を示す事が重要です。
 ゲーム脳戦争の要諦は洗脳戦です。教養と良識の普及運動とも言います。



 だんだん学級会じみてきました。そんな事より、ゲームやろうぜ。



posted by ばる at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ノイズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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